ページ

2010-03-22

On Radio: アートフェアー東京エグゼクティブ・ディレクター辛美沙&「西洋でアートは哲学である」

最近InterFM(76.1)をよく聴くんですが、昨日偶然アートフェアー東京エグゼクティブ・ディレクターの辛美沙さんがRadioDaysでお話しされてるのを聴きました。今、林容子さん著「進化するアートマネージメント」を読んでいる途中なので、日本におけるアートと社会の関わり等について第一線で活躍する方から聴くのは興味深かったです(目から鱗な話ではなかったですけれど)。

今回はアートフェアー東京エグゼクティブ・ディレクターということでアートと経済についてのお話が主だったんですが、印象に残ったのは「西洋でアートは哲学である」という主旨の言葉でした。

日本でアートといったら?欧米におけるパラダイムの存在
(ここからは個人の意見です)

私が日本の小学校から高校まで受けた芸術教育は実技のみ。一応写真がいっぱいのうすっぺらい教科書を買わされましたけど、授業中に教科書を開いて講義なんて1回もありませんでした。多分ほとんどの人がこういう実技重視の教育を受けたと思います。大学では評論や歴史的考察とかもやると思いますが、大学までいって美術史をとったりする人はそんなに多くないと思うので、ピカソはすごいと知っていても何故すごいのかを理解している人はそう多くないと思います。
つまり、日本で普通に高校まで通っても美術という中での理論的枠組み(評価のされ方)を学ぶ機会はなく、美術品を見ても自分の目に見える部分に頼りがちで、評価も一般にどう見えたか、どう感じたかに集中してしまう。

私が今でも覚えているのは(確か)中学校の教科書に載っていたDADAのメンバーで有名なジャン・アルプ(Jean Arp)のPlastron et fourchette [Shirtfront and fork]と思われる写真です。子供心に、これがアートかぁ、と思ったものです...(これなら私でも電動のこぎりを使って速攻作れる!みたいな)。
その後ポンピドゥーセンターのDADA展で関連作品を一挙にみることで、約100年前DADAとういうものがどういうことに挑んでいたのかが漠然とわかりました。その後アメリカの大学で美術通史をやって、やっと(西洋の)美術評価の仕方がわかったというわけです。それまで私は美術作品をみるにあたり、頭を空っぽにして、全く偏見のない状態でみることが良いと思っていました。アートは知識でみるものじゃないと考えていたからです。悪く言えば、アートは努力しないでも理解しうるものと思っていたとも言えます。しかし、元からある自分の経験や知識だけで評価するには限界があるのです(思わぬアイディアが出てこないわけではないですが)。しかも評価をするにあたってうまく表現する言葉が出てこない。それは勿論本人の言語力の問題でもあると思いますが、目には見えない概念や歴史といもうのを語る上で、その分野の単語であったり枠組みをある程度理解していなけでば作品を評することは困難です。それはどのような分野においても言えることで、アートに限ったことではありません。

DADAも含め一見単純な物や抽象画等、20世紀にはじまる「素人だって作れる/描ける」ような作品が評価されているのはその製作者の革新性であり、背後にある概念なのであり、単純に見ただけのインパクトや技術だけではないというのはコンテンポラリー・アートとみるとよくわかると思います。油彩の写実性だけでいったらピカソの13,14歳の作品は晩年の作品なんかよりよっぽど優れています。ではなぜ彼が高く評価されているのか。それはキュビズムにおけるキャンバスという平面上で時間の経過や複数の観点を同時に表現がするという新しい試み等があったからです。

辛美沙さんがトークの中で例に上げたジェフ・クーンズ(Jeff Koons)のバスケットボールが浮かべられた作品("Three Ball Total Equilibrium Tank (Dr. J Silver Series)")も見ただけでは「?」だと思います。この作品についてアーティストであるエリザベス・マンチェスターはこう評しています:
Enclosed in the watery vitrines, the basketballs become idealised objects which may refer to nostalgia or ambition – either way they are unattainable… Over a period of six months the balls gradually sink to the bottom of the tank and have to be reset. Because of this, they may be seen as representing transience, human frailty and vulnerability to change in fortune.

-Elizabeth Manchester on Jeff Koons’ seminal 1985 basketball “sculpture”

Transience(流動性)とかhuman frailty(人間の儚さ)なんて、なんでこのバスケットボールから読み取れるの?と思うかもしれません。大体に本人の想像の産物では?と思う人もいると思います。しかし、こういう概念は別にこの作品にだけ当てはまるものではなく、宗教画をみて人間の無力さを表現したともいえます。あえて言えば、彼女は昔から使われてきた評論の言葉で現代の作品を評しただけともいえるわけです。

またクーンズが評価されているのは、便器(「泉」1917年作)でお馴染みのマルセル・デュシャンにはじまるレディ・メイド(readymade[既製品])という一連の流れにさらに彼独自のアイディアを組み込んだからなのです(レディ・メイドはそれまでの絵画優位/視覚重視のfine artに風穴を開けたのです)。

つまり、こういう歴史的流れを把握しておかないと評価のポイントもわからないのです。


正直いって、歴史だの哲学だの小難しい話はしたくないという人もいると思います。700ページ以上もある近代美術の教科書なんて...。もちろん読む読まないは個人の自由であり、アートの楽しみ方は人それぞれあってしかるものだと思います(むしろこのブログが長い?)。

しかし、私たち鑑賞者側ももっと評価できるようにならないと北斎のように日本のアートは海外に評価されるまで待つことになってしまうのではないでしょうか。ビジュアル・リテラシーの力を上げるのはそう簡単ではないですが、村上氏の言うように日本の「ルール」作りは必要だと思います。
話はずれますが、現在の問題としてアートという分野に限らず考えていることを言語化できていない点もあると思います。どこかのテレビ番組でも文章が書けない現代人が取り上げられていましたし、新聞でも書家の方が日本の書に理論性がないことを指摘していました(記事)。これを続けると話が脱線するのでこれ以上は書くのはよしておきます。
こんなに偉そうに書いてきましたが、私だって未だに書くことが苦手です。専攻は理系だったので文系の抽象概念てんこもりの本には苦労しましたし、文章書いてはいったりきたりの繰り返し...。



オススメの本に「ツーアート[Two Art](ビートたけしX村上隆)」というのがあります。世界を股にかけて活躍する2人がアートとは?などいろいろなことについて語っております。村上隆氏は西洋アートに置ける「ルール」について言及しているので、専門書で頭を悩ませる前に読んだりするといいと思います。





ここまで欧米流アートの仕組みを評価してきましたが、勿論これがパーフェクトなわけではありません。
現代の商業主義的にアートに疑問を呈する声も多々あります。

その話は追々・・・


Online Picasso Project
Jeff Koons

2010-03-15

芸術家はどこまでも...2-海底の彫刻

以前に「芸術家はどこまでも...南極までも。」という題で記事を書きましたが、今回は海底に彫刻の庭を作ったアーティストの話です

彼の名はJason deCaires Taylor。



(Copyright: Jason de Caires Taylor 2008)

テーラー氏はアーティストだけでなく、ダイビングのインストラクターであり、水中博物学者、写真家でもあります。

2006年5月、彼は世界で初めて水中に彫刻の庭を西インド諸島のグレナダに作り、一躍世界中の注目の的となりました。この海底に置かれた彫刻達は、海中生物にとって人工的な礁の役割を果たし、自然のプロセスによってその環境の一部になっていきます。彼は「この作品は、人間による干渉を建設的、肯定的に表現し、持続可能な未来への可能性という理想像を呼び起こす」としています。


現在“The Silent Evolution”と題されたメキシコ、カンクーンでのプロジェクトが進行中

地元の協力もあり、着々と彫刻が出来上がっているようです。
そして今年の末には計400体が海底に配置される模様。

彼のページには今でも彫刻の型になってくれる人と少数のボランティア&彼のアシスタントを募集中とのこと。
もし興味のある人は下のページからチェックしてみては?
(海中の写真も必見なので是非ギャラリーをみてください

Jason de Caires Taylor|Underwater Sculpture


2010-03-14

クイズでアート- Fun quizzes for art lovers

美術鑑賞はちょっと休憩して・・・

今回紹介するのはNY近代美術館がブログで始めたアート・クイズとHold Your Horsesによる70 Millionという曲。


NY近代美術館のこと知ってる?- Do You Know Your MoMA?
毎回6つの写真がMoMAのコレクションから選ばれ、アーティスト名、タイトル、現在飾られている場所を見つけるもの。
有名な絵でもほんの一部をクローズアップされると意外とわからないもの。
下のNo.4とかはもうあの人のあれってすぐわかると思いますが・・・









みなさん全部わかりました?
答えは来週金曜日に発表されまーす!
(気になったらコメント欄をクリックすると、他の投稿者の答えがみれます。)

70 Million by Hold Your Horses
名画をバンドメンバーが演じていくというミュージック・ビデオ(森村泰昌のパクリ!?ってかんじもあるけど、みてて楽しいです。忠実じゃない、いい加減さ具合がいいんです)。
一見の価値あり!
(マネのオランピアが胸毛付きとかは苦笑いですけど(^^;))



にほんブログ村 美術ブログへ

ワンコインで抽象表現主義。

アメリカ合衆国郵便公社(The United States Postal Service [USP])がこのたび抽象表現主義記念切手を発行!
(アーティストと作品名は一番下へ)
10種類の切手がついて$4.40!名画の割にかなりお得!?
アメリカ国内だったらUSPSのウェブサイトからも購入可能です(こちら)。

買えない人は・・・お土産頼む時に「郵便局まで行ってきて!」、って言いましょう

  • The Golden Wall (1961) — Hans Hofmann (1880–1966)
  • Romanesque Façade (1949) — Adolph Gottlieb (1903–1974)
  • Orange and Yellow (1956) — Mark Rothko (1903–1970)
  • The Liver Is the Cock’s Comb (1944) — Arshile Gorky (1904–1948)
  • 1948–C (1948) — Clyfford Still (1904–1980)
  • Asheville (1948) — Willem de Kooning (1904–1997)
  • Achilles (1952) — Barnett Newman (1905–1970)
  • Convergence (1952) — Jackson Pollock (1912–1956)
  • Elegy to the Spanish Republic No. 34 (1953–1954) — Robert Motherwell (1915–1991)
  • La Grande Vallée 0 (1983) — Joan Mitchell (1925–1992)


P.S.
ポロック、ロスコは知ってるけど他は??という人もいると思うのですが、切手に加えられた10人は近代芸術の教科書にも載ってる有名どころです。
個人的にはクリフォード・スティル(Clyfford Still)の絵に惹かれます

2010-03-13

200通りのアイディアでグッゲンハイム美術館を考える

現在NYのグッゲンハイム美術館では、50周年を記念して企画展「虚空を考える」が行われていますが、今回はその企画展に応募された作品があなたのものになっちゃうかも!?というお話

今回の企画のために世界中のアーティスト、デザイナー、建築家、約200人がグッゲンハイムのロタンダ(円形の広間)を使った構想を出してきたのですが、そのうち9割がグッゲンハイムのチャリティーオークションに出品されます。
ちなみに日本からは伊東豊雄氏の作品がでていますよ。天井のガラスを使った作品なのでしょうか?

落札予想価格はまちまちといったところでしょうか。
諭吉さん2枚ぐらいからスタートのもありますけど...

オークションは3月18日まで↓のサイトで行われています
グッゲンハイム美術館オンライン・オークションのページ

主なアーティスト、デザイナー、建築家:
Alice Aycock, FAKE DESIGN (Ai Weiwei), Anish Kapoor, Sarah Morris, Mike Nelson, Paul Pfeiffer, Doris Salcedo, Lawrence Weiner, and Rachel Whiteread; designers such as Fernando and Humberto Campana, Martí Guixé, and Joris Laarman Studio; and architects such as Álvaro Siza Vieira Arquitecto, BIG (Bjarke Ingels Group), Greg Lynn FORM, junya.ishigami+associates, MVRDV, N55, Philippe Rahm, Snøhetta, Toyo Ito & Associates, Architects, and West 8


「虚空を考える」
場所:ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum
会期:2010年2月12日ー2010年4月28日


左: Alyson Shotz, Untitled, 2009 (detail). Laserjet print, 48.3 x 33 cm. Artwork © Alyson Shotz.
右: MAD Architects (Yansong Ma), State Fair Guggenheim, 2009 (detail). Digital print, 94.5 x 68.6 cm. Artwork © MAD Architects (Yansong Ma)

Guggenheim Museum: Contemplating the Void: Interventions in the Guggenheim Museum

ニューヨークまで行かれない・・・オンラインで展覧会を楽しむ!

2010-03-11

芸術家はどこまでも...南極までも。

芸術はどこで作られるのか?

1841年にアメリカ人のジョン・G・ランド(John G. Rand)が折り畳める金属製チューブを発明。画家達は屋外で油彩ができるようになり、後に印象派によってその利便性は最大限発揮されたのです・・・

そして今年、画家で彫刻家のナセル・アーザムは凍らない油彩道具を持っていざ、南極へ。


                      Copyright: Azam

8日、極寒の南極プロジェクトを終え、彼はイギリスに帰ってきた模様です。

気温約−30℃。
風が吹けば体感温度は−45℃。
風速100キロ/時になることもあるようで

こんな過酷な環境で、13点の絵を完成(全て屋外で描いた)。

この特殊な環境をキャンバスに反映させるため、彼は描いた作品を一夜屋外においたままに。そしたら4つも強風で飛ばされて、なんとか1つは見つかったとのこと(しかも、2日もかけてやっと1つ・・・)



Photograph of Nasser Azam painting in Antarctica on an ice desert. Azam Foundation photograph. Nejc Trost, C-Astral/Projekt Atol
(この抽象画は、南極という過酷で孤独な環境の中で、彼が物理的、心理的にとらえたものを描いたらしいです。)


アーティストのページ:Azam
News Source:
Artdaily.org - UK Artist Nasser Azam Completes Major Antarctic Performance Painting Series

2010-03-10

速報!アイ・ウェイウェイが・・・!?

かなり先の話になりますが、

次回、ユニリーバ・シリーズのアーティストがアイ・ウェイウェイ氏に決定した模様です!すでにテート・モダンのTwitter上にも公表されています。

予定は今年10月12日から翌年4月25日まで


アイ・ウェイウェイ(艾 未未)と言えば、去年11月まで森美術館で個展をやっていたあの方です
森美術館|アイ・ウェイウェイ展-何に因って?









Copyright: maico (Art @ World)

私、「8時間日曜対談―アイ・ウェイウェイ×アート×建築」まで行ったんです...。アイ・ウェイウェイの作品はデュシャンからの影響も強く、大学でデュシャンについて学んだ私にとって、とても興味深い展覧会でした。最初は8時間長そう〜と思ってましたが、建築家の坂茂、隈研吾氏、あとは杉本博司他いろんな方のお話も聴けて楽しかったです。


さてアイ・ウェイウェイ氏はあのタービン・ホールでどんなことをしてくれるのか?楽しみですね〜

The Unilever Series: Ai Weiwei
12 October 2010 – 25 April 2011

Tate Modern's Turbine Hall, site of The Unilever Series
© Tate

マリーナ・アブラモヴィッチとの出会い

一つ前のエントリーで紹介したマリーナ・アブラモヴィッチですが、私が初めて彼女の作品と出会ったのは6年前、シカゴの現代写真美術館(Museum of Contemporary Photography [MoCP])に行った時なんです。

彼女は主にパフォーマンス・アートで有名な人ですから、こんな場所で会うとは!(といってもビデオで録画されたものですが)しかもMoCPはシカゴにあるコロンビア・カレッジが建てたものなのですが、かなり小さい・・・ギャラリーとでも言った方がいいサイズです(確かsuggested priceみたいなかたちになっていて、特に入場料とかはないです)。


そして、MoCPでみた作品の一つがこれです(パフォーマンスのほんの一部):


タイトルは"Art must be beautiful, Artists must be beautiful"(1975年作)
そのタイトルと一緒に下の文章があったのですが、これを読んだ時の衝撃といったら・・・(思わず全部書き写してしまいました)。

I brush my hair with a metal brush in my right hand and simultaneously comb my hair with a metal comb in my left hand. While doing so, I continuously repeat "Art must be beautiful, Artists must be beautiful" until I hurt my face and damage my hair.

この中で注目したいのがartとbeautyの関係です。

芸術を学んでいく中でこの美という概念は必ず出てきますし、私たちも日常的に「美」を使った形容をしますよね。では芸術は美しいものであるか?もしくは、美しいもののみが芸術であるか?そもそも美って?

日本では「髪は女の命」なんていいますが、美を磨くために行っている行為が反対に美を損ねているとしたら?
「顔や髪を痛めるまで梳かした」先にあるものは?



シカゴには、シカゴ美術館(The Art Institute of Chicago)シカゴ現代美術館(Museum of Contemporary Art, Chicago)という2つの大きな美術館があるので現代写真美術館が目的で行く人はそんなに多くないかもしれませんが、時間があったら是非。(シカゴ美術館は去年レンゾ・ピアノ氏によってモダン・ウィングが増築されて話題になりました)


んー、NYに行って生のパフォーマンスみたい・・・

ちなみに彼女はいろんな意味ですごいパフォーマンスをやるのですが、この"Rhythm 10"もMoMAでやるのか気になります

2010-03-09

マリーナ・アブラモヴィッチ@ニューヨーク現代美術館

パフォーマンス・アートのパイオニアであり、これから歴史的評価がどんどん上がっていくであろうマリーナ・アブラモヴィッチ。
ついに彼女の回顧展が(しかも)ニューヨーク現代美術館で始まります!!
(こんな有名人の彼女なのに日本語のウィキペディアには載ってないんですね。彼女の経歴を知りたい方は横浜トリエンナーレ2008のページへどうぞ)


「アーティストはそこに存在する」
場所:ニューヨーク現代美術館(MoMA
会期:2010年3月14日ー2010年5月31日

Marina Abramović. Portrait with Flowers. 2009. Black-and-white gelatin silver print; photo: Marco Anelli. © 2010 Marina Abramović. Courtesy the artist and Sean Kelly Gallery/Artists Rights Society (ARS), New York


展覧会のページより:
このパフォーマンスによる回顧展では、初期のインターベンションや音による作品、ビデオ、インスタレーション、写真、独演、そしてウライ(Uwe Laysiepen)と共演したパフォーマンス作品と、40年以上の間に約50という作品数に及ぶ、多作のマリーナ・アブラモヴィッチ(1946年ユーゴスラビア生まれ)のキャリアを辿っていきます。このアーティストの存在を後世に伝え、彼女の歴史的パフォーマンスをより多くの人が鑑賞可能にするため、この展覧会ではアブラモヴィッチ作品を他人が演じるという、美術館という設定の中では初めてとなるライブ・パフォーマンスの再演を含んでいます。更に、アブラモヴィッチによって演じられる新しいオリジナル作品は、彼女がこれまで行ったソロの作品の中で最長を記録する予定です。観覧者が作品に参加する1つのものを含め、全てのパフォーマンスは鑑賞者が作品のもつ時間の超越性を体験できるよう、毎日美術館が開館する前から始まり、閉館後も続けられ、展覧会期間中は継続して行われます。

パフォーマンスに加えて、年代順に並べられたアブラモヴィッチのインスタレーションもMoMA6階ギャラリーで観ることができます。

14日より前にNYから帰ってきてしまうけど、どうしても観たい人にはMoMAメンバーになって会員限定プレビューに行くのがオススメです。(International会員だと$60、学生だと$50。しかもいろんな会員割引付き)

MoMAメンバー・プレビューの予定:
3月10日(水)10:30 a.m.
3月11日(木)10:30 a.m.
3月12日(金)10:30 a.m.
3月13日(土)10:30 a.m.

アーティスト本人と今回彼女の作品を演じた方々を交えたパネル・ディスカッション/シンポジア、Marina Abramović: The Artist Is Present: The Legacy of Performance、も6月2日6:30 p.m.から行われます

MoMA|Marina Abramović: The Artist Is Present

2010-03-01

《不平の合唱団》をYouTubeで楽しむ

今回は海外のネタから離れてわたくしゴト・ブログです

昨日は森美術館で行われていた「医学と美術」展とMAM PROJECT 010-テレルヴォ・カルレイネン+オリヴァー・コフタ=カルレイネン(Tellervo Kalleinen+Oliver Kochta-Kalleinen)の最終日でした。

「医学と美術」の方は以前空いてる時にじっくり見たので、今回はMAM PROJECTの《不平の合唱団》を楽しんできました。

最初は「不平」の合唱だから、他人の不満ばっかり聴いて楽しいかなぁと思ってたのですが、これが見たらけっこう可笑しくて、東京、Birmingham、Chicago等、何都市ものビデオを見てしまいました

合唱では各都市に特有の不平から、多くの人に共通するテーマまで(大量消費社会、雇用、政府、恋愛etc)を可笑しくも真剣に歌ってます。気に入ったフレーズをちょっと上げておきます

Helsinki:
ヘルシンキの真ん中にまた一つショッピング地獄が建てられた(Shopping 'Mall'をShopping 'Hell'に掛けている)
St. Petersburg:
酔っぱらってたって私は(カジミール)マレーヴィチの正方形の絵が描けるね
Chicago:
何でも近くに寄りすぎると性的魅力がなくなっちゃうのよね
みんな自分はキスがうまいって思ってるのよ
ここにオリンピックなんていらない

YouTubeで"Complaints Choir"と検索すると色々な都市のがでてくるので、「展覧会行きのがした」「中が混んでたから見る気になれなかった」人は是非見てください!(残念ながら展覧会ではあった日本語字幕はないので注意)

TOKYO バージョン↓


森美術館|MAM PROJECT 010 テレルヴォ・カルレイネン+オリヴァー・コフタ=カルレイネン

バンクシー作の映画がサンダンス映画祭で公開!

未だにその存在には謎が多いイギリス人グラフィティ、ストリート・アーティストのバンクシー(Banksy)。

ストリート・アートといっても、その対象となった場所は民家の塀等には留まらず、イスラエルとパレスチナの分離壁とかまでに及ぶ、世界一怖いもの知らずのゲリラ・アーティスト。その分離壁については「グラフィティをする者にとっては究極の休暇中旅行先("the ultimate activity holiday destination for graffiti writers")」なんて言ってのけてます...
さらに、大英博物館、テート・ブリテン、ニューヨーク現代美術館等の有名美術館に自分の作品をこっそり飾っちゃう始末(大英博物館の作品達はちゃんとコレクションの一部になったそうです)。

そんな彼の映画"Exit Through the Gift Shop"がサンダンス映画祭でお披露目され、英国では3月5日から公開される予定です



映画タイトルの"Exit Through the Gift Shop"は美術館に行ったらギフトショップに寄ってから帰る現状を皮肉ったものですかね。

ちなみに日本での公開予定は特に決まっていない模様。残念・・・


Exit Through the Gift Shop オフィシャル・ウェブサイト

サンダンス映画祭のページ|Banksy's Missive

その他バンクシー関係:
イギリスのBBCニュースから|「バンクシーがベツレヘムへ帰ってくる」:
In pictures: Banksy returns to Bethlehem

ストリート・アーティストなバンクシーですがブリストル市立博物館・美術館で展覧会をやったこともあります
Banksy versus Bristol Museum, review
art to art, English to Japanese, etc...