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2010-05-06

ピカソが$106.5 millionで美術品の史上最高額更新

5月4日にNYのクリスティーズで行われたオークションで、ピカソのNude, Green Leaves and Bust (「ヌード、観葉植物と胸像」1932年作)が$106,482,500($1=94円換算だと約100億円)の値をつけ、オークションで取引された美術品では至上最高額のものとなったようです。
下の写真が今回落札された絵画です

© 2010 Estate of Pablo Picasso / Artists Right Society (ARS), New York

予想落札価格は7000万~9000万ドルだったようで、アジア、アメリカ、ヨーロッパ(旧ソビエト連邦含む)から少なくとも8人の入札者がいたということです。誰が落札したのかはもちろんわかりません!

作品はアート・パトロンでロサンジェルスに住んでいたフランシス・ブロディの遺産で、もとは1951年にNYのギャラリーから当時の価格で$19,800で購入したもののようです(現在でいうと約$166,000。日本円で約1560万円[94円換算])。 今回のオークションにはブラックやジャコメッティの作品等もありました


ちなみに、この油彩に描かれているのはは22歳の愛人マリーテレーズ・ワルテル(ピカソはこの時50歳)。2人の出会いはパリのデパート、Galeries Lafayetteで、当時彼女はまだ17歳だったそうです。
今回落札された作品が作られた1932年には彼女をモデルとした絵を多数描いています。スタイルも様々で、ニューヨーク近代美術館にあるGirl Before a Mirrorも9132年に彼女をモデルにして描かれたものです



Picasso Carries Christie's to a Record
Picasso sets record sale price
On-line Picasso Project

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2010-04-27

日曜美術館(4/25) 夢の北斎 傑作10選 part.2

前回の日曜美術館(4/25) 夢の北斎 傑作10選 part.1に続いて葛飾北斎です

北斎を読んでみる

私が北斎の絵を見てすごいと思うのはやはり画面の構成。
(そしてそこから読み取れる対比と解釈)
実際あんな大波に北斎が揺られていたわけはないでしょうから、実際の景色を見つつも彼の想像力(と鍛錬!)でこれだけ記憶に残る作品を作り上げた北斎には脱帽

「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」1830年頃

代表作『神奈川沖浪裏』ですが、ここに描かれているのものは大波、富士山、押送り船(と人)に絞られており、特に波が画面左の大半を占め、その勢いと大きさは圧巻です。また、全てを掻き込むような波頭の描写と波に飲み込まれそうな船や波に従うしかない他の船の対比が、さらに波の荒々しさと雄大さを強調します。もっといえば、波という大自然と前に進もうと抗い、また時に波のなすがままに漂う人間の対比ともいえます

富士山ですが、大波と比べて画面の中ではあまりスペースが与えられていません。でも何故か目線は富士にもっていかれますよね。線を引きたくなる絵でも紹介されているように、神奈川沖浪裏』では波頭が作る線が導線となって目線が富士にいくようになっています。また、カーブを付けて大波を描き、包み込むような円形スペースが出来る事によって、その空間に突き出た富士の存在感が一層際立ちます。
さらに、この画の中で空として扱われている背景が富士山のもつ神秘性をも醸し出し、ある意味富士と一体化しています。それによって猛々しく動的な波と神秘的で静的な富士との強いコントラストを作り出しています。

富士山自体は小さいのに目で見た以上にその存在感が頭の中で強調されるのはこのような理由からだと思います

名前は何十回も変え、様々な画法を吸収して90歳まで描き続けた北斎。
伝統的ともいえる余白の美に加え、北斎独特の波頭の細かい描写に計算された構図。あらゆるものを一つにまとめあげ、北斎の表現が一枚に凝縮された「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」には感嘆です。



個人的にはさらに富士は不動、不死、波と人は世俗の移り変わりのを表すなんて、仏教的な解釈もできるんじゃないかと思います。
下の絵は番組内で『北斎漫画』の組み合っている図案が使われたとして比較されていたゴーギャンによる『説教のあとの幻影』です。印象派的な作品からの離別と彼独自のシンボリズム、独特の色の配置で高く評価されている作品で、画面を斜めに隔てる木によって天使とヤコブのいる幻影の世界とブルトン人の女達が祈る世俗の世界が表されています。
この神秘的な領域と世俗という2つの世界を表しているという解釈が神奈川沖浪裏』の大波と富士のコントラストに通じるところがあるのではと思ったりします。
(ちなみにこの画面を斜めに横断する木の構図は歌川広重の『名所江戸百景 亀戸梅屋舗』からヒントを得ているようです)

Paul Gauguin. La vision après le sermon [説教のあとの幻影]. 1888年


関連リンク:


「90歳の生涯で膨大な作品を残した葛飾北斎。驚くべき体力と精神力の持ち主であった彼は、70歳を過ぎてから代表作『富嶽三十六景』シリーズを制作し、その後、長野県・小布施を訪れて、宇宙の混沌(カオス)を描いたかのような傑作を80代半ばに完成させた。なぜ北斎はカオスを描いたのか。『富嶽三十六景』の制作の頃から追って、その謎の真相に迫る。」

(*番組内でやっていた画面の構図分析みたいな図もみれます)


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日曜美術館(4/25) 夢の北斎 傑作10選 part.1

今も昔も海外で一番有名な日本人アーティストといえば、葛飾北斎でしょう。歌川広重も勿論有名ですが、海外でも『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』はポスターとして人気があるので、多分北斎の名前が出てこなくても「フジヤマと波(big wave)の絵」の制作者でわかる人もけっこういるんじゃないかと思います

そんな北斎がNHKの日曜美術館に登場
(私、北斎ってあんなに多産で多様な作品を残した方だって知りませんでした。)

いろんな作品が紹介されていましたが、やはり代表作『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』は構成、波頭の形等興味深い点がたくさんありますし、北斎の最高傑作というに相応しい作品だと思います

富士山と北斎

古代から日本には山岳信仰がありますが、江戸時代後期には富士信仰の一派である富士講が大流行したようで、江戸では「江戸八百八講、講中八万人」などと言われていたようです。また神社参詣も盛んになり、庶民も伊勢神宮に詣でる御蔭参りだなんだと理由をつけて旅行に出ていたので途中富士を間近でみることもあったでしょう。
(新詳日本史によると1830年には約500万人もの人が御蔭参りにいったとか...すごい数!)

これだけ富士山がもてはやされていた時ですから、北斎もそれに便乗したとも考えられますが、生涯絵師として精進し続けた北斎にとっては単に人気のある題材というだけでなくもっと精神的重要性があったのかもしれません。
(北斎と妙見信仰については「カオスを描いた北斎の謎 第20回 北極星から取った北斎の号 - 方位、方角を尊び守る妙見信仰に基づいた命名」で触れられています)

「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」とその他の作品

下はカオスを描いた北斎の謎で紹介されている「おしおくりはとうつうせんのづ」です。画面左に大きく描かれた大波の構図なんかは神奈川沖浪裏』を彷彿とさせるものがありますが、これには富士は描かれていません。また、内田氏の言うように波はまるで蛤の化け物の様です

「おしおくりはとうつうせんのづ」
東京国立博物館蔵. 1800年(もしくは1804年)


『冨嶽百景』二編9丁より「海上の不二」. 二編は1835年刊行

『冨嶽三十六景』の初版は1823年頃に制作が始まり、1833年頃頃完結しているので図案ができたのは『海上の不二』の方が『神奈川沖浪裏』より後なのかもしれません。
「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」1830年頃




関連リンク:

日曜美術館|夢の北斎 傑作10選

日経ビジネス オンライン|カオスを描いた北斎の謎
「90歳の生涯で膨大な作品を残した葛飾北斎。驚くべき体力と精神力の持ち主であった彼は、70歳を過ぎてから代表作『富嶽三十六景』シリーズを制作し、その後、長野県・小布施を訪れて、宇宙の混沌(カオス)を描いたかのような傑作を80代半ばに完成させた。なぜ北斎はカオスを描いたのか。『富嶽三十六景』の制作の頃から追って、その謎の真相に迫る。」

葛飾北斎《冨嶽三十六景「神奈川沖浪裏」》─線を引きたくなる絵「大久保純一」
(*番組内でやっていた画面の構図分析みたいな図もみれます)


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2010-04-22

花:サルバドール・ダリ vs 北野 武/ビートたけし

昨日、本屋でFIGARO(2010年6号)を立ち読みしていたら、今パリのカルティエ財団で行われている北野 武/ビートたけし展「Gosse de peintre - 絵描き小僧」の特集が載っていました。

作品も何点か紹介されていたのですが、その中にちょっと気になる1点が

それは真っ青な背景に、ピンク色で柄入りの着物を着た女性が立っている絵
(時代考証とかはできないのですが、被布の長いのを着たようなカンジです。だから江戸時代だと勝手に推測)

ここまでは普通なんですが、頭が百合の花なのです

そこで浮かんだのがサルバドール・ダリのこの作品↓
1973作、無題(花の頭を持つ女人像)
[Untitled (Female Figure With Head of Flowers)]

体が変形していたり、奇妙な世界観をもつダリ作品にしてはおとなしい部類のものですよね。(でも花を単に愛でるものと考えたら、まるで女性を見るだけのモノとして描いているとも言えます。)

この作品の背景を見るとラフスケッチで終わってしまっている部分もあり、完成したものなのか疑問なところもありますが、この構図が北野作品にすごく似ているのです。本当に北野作品の画像がないのが惜しい!書店でチェックしてみてください!!


北野氏自身は会見で、
「...一番正直に、自分がこの楽しいと思うことを、皆さんと共有したいということで作ったわけで、もう裏に背景とか、このオブジェがどういうものを意味するかって大抵皆さんは聞きたいと思いますが、えー答えはないですから。...」と言ってます

答えはない、でも解釈は自由。
だからこの百合頭の女性とか気になっちゃうんですよね
キリスト教の絵画で白百合は受胎告知の時にガブリエルがよく持っていてるアイテムで、この場合はマリアの処女性を象徴するもの。何を考えながら描いていたんでしょう?


ちなみに「いいなと思う作品(影響を受けたわけではない[本人談])」に上げられているのは印象派、マティス、ピカソ、モンドリアン、カンディンスキーでした

色に関して影響をうけたのは「ペンキ屋であるうちのオヤジ」だそうです!


カルティエ財団|北野 武/ビートたけし展「Gosse de peintre - 絵描き小僧」
(インタービューと写真のページがあります)
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2010-04-20

Yoshihiro Suda: In Focus @ Asia Society

既に終わっている展覧会を紹介することになってしまうのですが、
この間「アートフェア東京2010 - 雑草編」で書いた須田悦弘さんがニューヨークにあるAsia Societyで2月まで個展をやっていました。

Yoshihiro Suda: In Focus

丁度そのページにインタビューが載っていたのでリンクを貼っておきます。
作品制作から構想等色々なことを話されているので、作品について更に知りたい方は是非読んでみてください
Telephone interview with Yoshihiro Suda
(インタービューは全て英語となってます。あしからず。)

こないだのアートフェアでもらったPalais de Tokyoで展覧会をした時のパンフレット(仏語は読めないので翻訳ソフト使用)のインタビューとこれを読んで、ほんとに色々な視点で鑑賞できることがわかり興奮しております

例えば、この間のエントリーでも紹介した雑草の作品ですが、彼は2006年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で108の「雑草」を設置したそうです。108と言えば除夜の鐘の数。あの鐘をつくことによって百八煩悩を一つ一つ吹き消す意味があるそうですですが、さて雑草に置き換えて考えると?

また、作品の一つに朝顔の花がありますが、これはPalais de Tokyoのパンフレットによると千利休の「朝顔の茶会」から発想を得たそうです。この茶会のエピソードというのは、千利休が秀吉に朝顔が咲いているからと招待したのに、秀吉が行ってみれば庭には一輪も咲いていない。茶室に入ってみると、朝顔が一輪だけ生けてあり、秀吉が感嘆したというものです。
(Yoshihiro Suda, Morning Glory. 2007. Painted wood. Installation view at Galeria Fortes Vilaça, Sao Paulo)

アートは知れば知るほど楽しい
数分美術館の作品の前で「見る」だけでなく、様々な角度から考察してみるとより深く作品を楽しめると思います

私がアメリカで西洋美術史のクラスをとった時、一番始めの授業で教授が示した美術[史]を読む上で重要なことは以下の4つでした

contents(内容:何がこの作品に含まれているのか、また材料や技法)
intents(意図:何故この作品が作られたのか、何故この材料や技法なのか)
contexts(文脈:歴史的なものを含め、どのような流れがあるか)
critical/aesthetic reception(評論的/美学的感受能力:根本的な題材とは)

ま、たアーティスト、作品、材料、スタイル、後援者、鑑賞者のもつ多様性と複雑性を正しくとらえ、評価していくことも重要ということでした

いろいろな鑑賞の仕方はあると思いますが、その教授流に言うと、作品は事件現場みたいなもので、それを精査していくのがアート鑑賞といえる、なんて言っておりました(ちなみに彼は18世紀イギリス美術史の専門家です)


最後に、前回の雑草編に続きちょっと批評もどきでもしようと思っていたのですが、能楽とか日本の伝統芸能の絡めて書こうと思ったら原書を読まないと...となって、途中でストップしてしまいました。

それではこの辺で・・・
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2010-04-18

「作品にお手を触れないで下さい」@MoMA

美術館にいったらよく見るこのラベル。

子供なんて連れていった日には、作品に触らないか心配する親御さんもいるのでは?
(私は大学の友達が作品に触れてビックリしたことがあります。もちろん監視員の人に注意されてました。不幸中の幸いと言えばその作品が金属のプレートであったことでしょうか。水彩とかだったら...)

まー当たり前といったかんじなのですが、以前紹介したニューヨーク現代美術館で現在行われているマリーナ・アブラモヴィッチの展覧会ではどうも「作品にお手を触れないで下さい」というルールを守らない方が意外といるようで、ニューヨーク・タイムズ紙の記事になってしまいました

マリーナ・アブラモヴィッチさんというのはパフォーマンス・アート界の女帝とでもいったらいいのでしょうか。
今回MoMAで行われている大規模回顧展では彼女が過去に行ったパフォーマンスを他の選ばれたアーティスト達も披露しているのですが、中には裸で行っている作品もあります

Imponderabiliaという裸の男女の間を鑑賞者が通る作品にかこつけてパフォーマーに故意に触る不届きな行いをする人もいるそうです。記事には肋骨のあたりを触って、最後にはお尻の方まで手を出してしまった大胆不敵な輩の事がかかれています。仕舞には30年のメンバーシップを剥奪され出入り禁止になった話まで...。警察に突き出されなかっただけ幸い?

そんな不快な想いもする中でも、パフォーマーの方達は普段演劇等本職の方では得られない貴重な体験をしているようです。
美術館というステージと観客席という隔たりのない空間、しかも声を発して何かを訴えるわけでもなく、動く事もないパフォーマンス。彼らは鑑賞者の前に晒されることで危うい立場にもなり、同時にその強さをも放つ。

GWでニューヨークに行かれる方は是非MoMAに行ってみてください!

©Suzanne DeChillo/The New York Times
A performer in “Marina Abramovic: The Artist is Present” at the Museum of Modern Art.

MoMA|Marina Abramović: The Artist Is Present

ネタ元:ニューヨーク・タイムズ
Some at MoMA Show Forget ‘Look but Don’t Touch’


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2010-04-17

GEISAI大学第4シーズン 終了

昨日はGEISAI大学第4シーズンをUstreamで観ていました
(どうも7時間も観ていたようです。特に村上隆さんと東浩紀さんのトークはほんとに楽しかった。後半窮地に追いやられてしまった?黒瀬陽平さんは次回頑張ってください!とにかく主催者側の人は、本当にお疲れさまです、というかんじです。今回初めて観たのですがいつもこんなに延びてたのかな??)

昨日から今日にかけてやっていたテーマは(終わったのは午前2時過ぎ?日にちまたいでました)、

『カオス*ラウンジ』とは何か?——「ネ申」が降臨する祭りの形式

GEISAI大学のページからの引用:

『カオス*ラウンジ』とは何か?-「ネ申」が降臨する祭りの形式


現在、日本におけるアートの震源地は、完全にネットの中へと移行している。
2ch、mixi、YouTube、ニコニコ動画、Twitter、 Tumblrと いった「アーキテクチャ」(濱野智史)の数々は、ここ数十年の情報環境の整備とともに発展し、今や最も過激で豊かな文化資源の貯蔵庫と化している。
し か し、そこは同時に、匿名的な想像力が支配する世界でもある。
そこでは常に、作品未満の作品やコンテンツ未満のコンテンツばかりが生々流転し、決して一人 の 作家、
ひとつの作品へと固着するとこがない。豊かであると同時に不毛なこの世界から、果たして、作品はつくられるのか?作家は生まれるのか? 
—— 現在、私がキュレーションしている『カオス*ラウンジ』という展覧会は、以上のような問題意識をベースに企画されている。
本講演では、『カオス*ラウンジ』の意義と、その周辺の作家、作品を解説すると同時に、
いわば「情報化時代のアート」についてのヴィジョンを提示するつもりである。(黒瀬陽平[美術家、評論家])


今回は『カオス*ラウンジ』とは何か?が論題だったわけですが、(ネタばれですが)結論というものがでませんでした。

前半2時間ほど黒瀬さんが説明したのですが、その講演では核心をつかなかった(つけなっかたと言った方が正しいかな)。もっといえば、このプロジェクトの革新性や重要性を歴史の中で位置づけられなかったと言えばいいのか
(観たい方は→http://www.ustream.tv/recorded/6218386

それで後半約5時間にも及ぶ『放課後討論会』になったわけですが・・・

残念、出ず。

ただ、出演されていた村上隆さんと東浩紀はさすがプロフェッショナル。
結論なくても、この2人の質問、トークのために録画したものを観る価値はあります。
特に、村上氏が例を挙げながら欧米の批評や物差しを述べているところや、東氏の歴史(過去の批評であり、哲学であり)を知った上での批評の重要性etc(村上氏は実際に欧米で多くの批評をうけているだけあって言葉に重みがあります)。
あと、お二方の『カオス*ラウンジ』に対するコメントも貴重です。
(後半戦はこちらから)

今回多いときで2200人もの方がUstreamで観ていたようですが(美術手帳の編集長さんも現場にいらっしゃいました)、このプログラムが『カオス*ラウンジ』だけでなく日本のアートどのようにに影響を及ぼすのか?さすがに一夜ですばらしいアーティストや批評家が出来上がるわけではないですが、日本の曖昧にしてしまう点が変わっていくのか?これからが楽しみ


今回「何?」という事を示してもらいたかった。
「日本の若手評論家もすごい」「これなら日本のアートももっと盛り上がっていく」って思いたかった
と一視聴者としては残念に思いますが、とにかく次回のギャラリーでの展示に合わせてなんらかのステイトメント出ることを願ってます。さすがに3度目の正直はね。

(ちなみに私はまだ実際に『カオス*ラウンジ』を見に行ってません)


GEISAI大学第4シーズンを観るUstream

『カオス*ラウンジ』のホームページ

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2010-04-11

美の巨人たち(4/10放送)

昨日美の巨人たちで『フォンテーヌブロー派「ガブリエル・デストレとその妹」』が放送されていました
(ちなみにルーヴルのページでは《ガブリエル・デストレとその姉妹ビヤール公爵夫人とみなされる肖像》)

© RMN / René-Gabriel Ojéda

正直私としてはもうちょっと突っ込んだ内容にして欲しかった!
せっかくフランスまでいって専門家に話をきいているのに、なんであの警察官とかに時間を割いちゃうのか...残念。

四角い鏡とか(ヤン・ファン・エイクのアルノルフィーニ夫妻像は円形)
あの幕の不自然さとか(特にこちらから見て左側)
壁の絵画は何をもとにしてるのか

気になりだしたら切りがない...

ネットの資料だけでは謎は絶対解けなさそうですが、いくつか見つけたのでここに貼っておきます。

モデリング:
番組ではあのモナ・リザの絵が引き合いに出されていましたが、エルミタージュとかにあるレオナルド派の作品として残っているNude GiocondaとかLady at her Toiletとかも歴史的に参照されるようです。




お風呂:
絵の中で2人はお風呂に入っていますが、私たちが考えるような湯船にのんびりつかって入浴というのは当時稀だったようです。
というのは、ルネサンス以降、医者達はお風呂に入るとその熱のせいで毛穴が開き、その穴から体内に毒気(miasmata)が入ると信じていたからです(当時は川から水をひいていたけれど、川は汚水を流すためにも使われていた)。その為、お風呂に入るのは医者に「処方」された時のみで、さらに厳重な注意を払って入浴したようです。

このことを踏まえて絵を見ると、入浴シーンは毒殺されたことを暗示しているのかも...??

詳しくは↓のページから(英語/仏語)
Musée historique environnement urbain|The "dry wash"

ルーヴル美術館の作品解説(日本語)

Musée historique environnement urbain|Gabrielle d'Estrées and one of her sisters

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2010-04-05

アートフェア東京2010 - 雑草編

アートフェア東京終了!

土曜日に皇居周辺のお花見をかねて行ってきました。


こういうアートを売買目的としたイベントに行くのは初めてだったのですが、美術館とは違っていろんな作品を一気にみれるので個人的には楽しめました(日本の古美術からコンテンポラリーまで様々。でも絵画中心)。
ブースによっては作品がけっこうあったので、作品にぶつかりはしないかとちょっと不安なところもありましたが...

アートを買う気がなくても絶対楽しめるイベントなので、「フェアだから...」と思っている人にもオススメします。あとはアート・トークを聴くのにもいい機会です。


気になった作品は何点かあったのですが、とりあえず一つ上げるとすれば、
ギャラリー小柳のところの須田悦弘(すだ よしひろ)

今回はバラ一輪のみを飾ってあるという、他のブースにはない演出。
なんだかあのスペースだけ雑音の中で時が停止した静けさを放っていました

でも私が特に気になったのはそこになかった作品。
しかも「雑草(Weeds)」

カウンターのところに2004年パレ・ド・トーキョー(パリ)で行われた展覧会のパンフレットがあって、中をぱらぱら見ていて発見。


なんで私が「雑草」に興味をもったかというと...

まず、高校入試の小論練習をしていた時、当時の国語教師に教えてもらった過去問に「ヨーロッパには雑草がない。それはなぜか」という問いがあったからです。当時の私はヨーロッパの人は雑草という一見無価値のようなものにも何らかの価値があるはずだから、「雑草はない」というのかな、と考えていました。
今考えても難問です(~_~;)
例えば、最初に日本語でいう雑草のイメージを上げると、そこら辺に生えている取るに足らない植物や農耕地に生える農作物以外の邪魔な植物を思い浮かべると思います。既にこの時点で「取るに足らない、存在価値を無視された」植物と「邪魔な、必要のない(若しくは存在価値を否定された)」植物という2通りが考えられるのです。ヨーロッパの雑草について話す以前に日本語の雑草って?ってな話になってしまいます...

実際ヨーロッパでこんな事を言うのかは定かではありませんが、この展示を機にまた私を悩ませる問いでした(当時は小論の文字数指定が1800字前後だったので、さらに四苦八苦してました)

そして、この作品の元となった雑草がシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)っぽかったから。
(実際はただのシロイヌナズナ属の他の植物かもしれませんが)
シロイヌナズナは、2000年に植物としては初めて全ゲノムが解読され、モデル生物として植物学をやっている研究者には超重要な植物なのです!シロイヌナズナの野生種をもとに、研究用に遺伝子組み換えされたものもたくさんあります(もちろん市販はされていません)。
仮にこの木工作品がシロイヌナズナをモデルとしていたら、「なんでギャラリー(若しくは美術館)に実際雑草だけれど生物学の研究では重要なものが!?」となるのです。作品の精巧さに驚き、その正体にびっくり。


普通にみたらタダの雑草
よく観れば精巧な木工作品
研究者が見たら研究用モデル生物

見方もいろいろ

写真はArtnews.orgのページから




















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2010-03-22

On Radio: アートフェアー東京エグゼクティブ・ディレクター辛美沙&「西洋でアートは哲学である」

最近InterFM(76.1)をよく聴くんですが、昨日偶然アートフェアー東京エグゼクティブ・ディレクターの辛美沙さんがRadioDaysでお話しされてるのを聴きました。今、林容子さん著「進化するアートマネージメント」を読んでいる途中なので、日本におけるアートと社会の関わり等について第一線で活躍する方から聴くのは興味深かったです(目から鱗な話ではなかったですけれど)。

今回はアートフェアー東京エグゼクティブ・ディレクターということでアートと経済についてのお話が主だったんですが、印象に残ったのは「西洋でアートは哲学である」という主旨の言葉でした。

日本でアートといったら?欧米におけるパラダイムの存在
(ここからは個人の意見です)

私が日本の小学校から高校まで受けた芸術教育は実技のみ。一応写真がいっぱいのうすっぺらい教科書を買わされましたけど、授業中に教科書を開いて講義なんて1回もありませんでした。多分ほとんどの人がこういう実技重視の教育を受けたと思います。大学では評論や歴史的考察とかもやると思いますが、大学までいって美術史をとったりする人はそんなに多くないと思うので、ピカソはすごいと知っていても何故すごいのかを理解している人はそう多くないと思います。
つまり、日本で普通に高校まで通っても美術という中での理論的枠組み(評価のされ方)を学ぶ機会はなく、美術品を見ても自分の目に見える部分に頼りがちで、評価も一般にどう見えたか、どう感じたかに集中してしまう。

私が今でも覚えているのは(確か)中学校の教科書に載っていたDADAのメンバーで有名なジャン・アルプ(Jean Arp)のPlastron et fourchette [Shirtfront and fork]と思われる写真です。子供心に、これがアートかぁ、と思ったものです...(これなら私でも電動のこぎりを使って速攻作れる!みたいな)。
その後ポンピドゥーセンターのDADA展で関連作品を一挙にみることで、約100年前DADAとういうものがどういうことに挑んでいたのかが漠然とわかりました。その後アメリカの大学で美術通史をやって、やっと(西洋の)美術評価の仕方がわかったというわけです。それまで私は美術作品をみるにあたり、頭を空っぽにして、全く偏見のない状態でみることが良いと思っていました。アートは知識でみるものじゃないと考えていたからです。悪く言えば、アートは努力しないでも理解しうるものと思っていたとも言えます。しかし、元からある自分の経験や知識だけで評価するには限界があるのです(思わぬアイディアが出てこないわけではないですが)。しかも評価をするにあたってうまく表現する言葉が出てこない。それは勿論本人の言語力の問題でもあると思いますが、目には見えない概念や歴史といもうのを語る上で、その分野の単語であったり枠組みをある程度理解していなけでば作品を評することは困難です。それはどのような分野においても言えることで、アートに限ったことではありません。

DADAも含め一見単純な物や抽象画等、20世紀にはじまる「素人だって作れる/描ける」ような作品が評価されているのはその製作者の革新性であり、背後にある概念なのであり、単純に見ただけのインパクトや技術だけではないというのはコンテンポラリー・アートとみるとよくわかると思います。油彩の写実性だけでいったらピカソの13,14歳の作品は晩年の作品なんかよりよっぽど優れています。ではなぜ彼が高く評価されているのか。それはキュビズムにおけるキャンバスという平面上で時間の経過や複数の観点を同時に表現がするという新しい試み等があったからです。

辛美沙さんがトークの中で例に上げたジェフ・クーンズ(Jeff Koons)のバスケットボールが浮かべられた作品("Three Ball Total Equilibrium Tank (Dr. J Silver Series)")も見ただけでは「?」だと思います。この作品についてアーティストであるエリザベス・マンチェスターはこう評しています:
Enclosed in the watery vitrines, the basketballs become idealised objects which may refer to nostalgia or ambition – either way they are unattainable… Over a period of six months the balls gradually sink to the bottom of the tank and have to be reset. Because of this, they may be seen as representing transience, human frailty and vulnerability to change in fortune.

-Elizabeth Manchester on Jeff Koons’ seminal 1985 basketball “sculpture”

Transience(流動性)とかhuman frailty(人間の儚さ)なんて、なんでこのバスケットボールから読み取れるの?と思うかもしれません。大体に本人の想像の産物では?と思う人もいると思います。しかし、こういう概念は別にこの作品にだけ当てはまるものではなく、宗教画をみて人間の無力さを表現したともいえます。あえて言えば、彼女は昔から使われてきた評論の言葉で現代の作品を評しただけともいえるわけです。

またクーンズが評価されているのは、便器(「泉」1917年作)でお馴染みのマルセル・デュシャンにはじまるレディ・メイド(readymade[既製品])という一連の流れにさらに彼独自のアイディアを組み込んだからなのです(レディ・メイドはそれまでの絵画優位/視覚重視のfine artに風穴を開けたのです)。

つまり、こういう歴史的流れを把握しておかないと評価のポイントもわからないのです。


正直いって、歴史だの哲学だの小難しい話はしたくないという人もいると思います。700ページ以上もある近代美術の教科書なんて...。もちろん読む読まないは個人の自由であり、アートの楽しみ方は人それぞれあってしかるものだと思います(むしろこのブログが長い?)。

しかし、私たち鑑賞者側ももっと評価できるようにならないと北斎のように日本のアートは海外に評価されるまで待つことになってしまうのではないでしょうか。ビジュアル・リテラシーの力を上げるのはそう簡単ではないですが、村上氏の言うように日本の「ルール」作りは必要だと思います。
話はずれますが、現在の問題としてアートという分野に限らず考えていることを言語化できていない点もあると思います。どこかのテレビ番組でも文章が書けない現代人が取り上げられていましたし、新聞でも書家の方が日本の書に理論性がないことを指摘していました(記事)。これを続けると話が脱線するのでこれ以上は書くのはよしておきます。
こんなに偉そうに書いてきましたが、私だって未だに書くことが苦手です。専攻は理系だったので文系の抽象概念てんこもりの本には苦労しましたし、文章書いてはいったりきたりの繰り返し...。



オススメの本に「ツーアート[Two Art](ビートたけしX村上隆)」というのがあります。世界を股にかけて活躍する2人がアートとは?などいろいろなことについて語っております。村上隆氏は西洋アートに置ける「ルール」について言及しているので、専門書で頭を悩ませる前に読んだりするといいと思います。





ここまで欧米流アートの仕組みを評価してきましたが、勿論これがパーフェクトなわけではありません。
現代の商業主義的にアートに疑問を呈する声も多々あります。

その話は追々・・・


Online Picasso Project
Jeff Koons

2010-03-15

芸術家はどこまでも...2-海底の彫刻

以前に「芸術家はどこまでも...南極までも。」という題で記事を書きましたが、今回は海底に彫刻の庭を作ったアーティストの話です

彼の名はJason deCaires Taylor。



(Copyright: Jason de Caires Taylor 2008)

テーラー氏はアーティストだけでなく、ダイビングのインストラクターであり、水中博物学者、写真家でもあります。

2006年5月、彼は世界で初めて水中に彫刻の庭を西インド諸島のグレナダに作り、一躍世界中の注目の的となりました。この海底に置かれた彫刻達は、海中生物にとって人工的な礁の役割を果たし、自然のプロセスによってその環境の一部になっていきます。彼は「この作品は、人間による干渉を建設的、肯定的に表現し、持続可能な未来への可能性という理想像を呼び起こす」としています。


現在“The Silent Evolution”と題されたメキシコ、カンクーンでのプロジェクトが進行中

地元の協力もあり、着々と彫刻が出来上がっているようです。
そして今年の末には計400体が海底に配置される模様。

彼のページには今でも彫刻の型になってくれる人と少数のボランティア&彼のアシスタントを募集中とのこと。
もし興味のある人は下のページからチェックしてみては?
(海中の写真も必見なので是非ギャラリーをみてください

Jason de Caires Taylor|Underwater Sculpture


2010-03-14

クイズでアート- Fun quizzes for art lovers

美術鑑賞はちょっと休憩して・・・

今回紹介するのはNY近代美術館がブログで始めたアート・クイズとHold Your Horsesによる70 Millionという曲。


NY近代美術館のこと知ってる?- Do You Know Your MoMA?
毎回6つの写真がMoMAのコレクションから選ばれ、アーティスト名、タイトル、現在飾られている場所を見つけるもの。
有名な絵でもほんの一部をクローズアップされると意外とわからないもの。
下のNo.4とかはもうあの人のあれってすぐわかると思いますが・・・









みなさん全部わかりました?
答えは来週金曜日に発表されまーす!
(気になったらコメント欄をクリックすると、他の投稿者の答えがみれます。)

70 Million by Hold Your Horses
名画をバンドメンバーが演じていくというミュージック・ビデオ(森村泰昌のパクリ!?ってかんじもあるけど、みてて楽しいです。忠実じゃない、いい加減さ具合がいいんです)。
一見の価値あり!
(マネのオランピアが胸毛付きとかは苦笑いですけど(^^;))



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ワンコインで抽象表現主義。

アメリカ合衆国郵便公社(The United States Postal Service [USP])がこのたび抽象表現主義記念切手を発行!
(アーティストと作品名は一番下へ)
10種類の切手がついて$4.40!名画の割にかなりお得!?
アメリカ国内だったらUSPSのウェブサイトからも購入可能です(こちら)。

買えない人は・・・お土産頼む時に「郵便局まで行ってきて!」、って言いましょう

  • The Golden Wall (1961) — Hans Hofmann (1880–1966)
  • Romanesque Façade (1949) — Adolph Gottlieb (1903–1974)
  • Orange and Yellow (1956) — Mark Rothko (1903–1970)
  • The Liver Is the Cock’s Comb (1944) — Arshile Gorky (1904–1948)
  • 1948–C (1948) — Clyfford Still (1904–1980)
  • Asheville (1948) — Willem de Kooning (1904–1997)
  • Achilles (1952) — Barnett Newman (1905–1970)
  • Convergence (1952) — Jackson Pollock (1912–1956)
  • Elegy to the Spanish Republic No. 34 (1953–1954) — Robert Motherwell (1915–1991)
  • La Grande Vallée 0 (1983) — Joan Mitchell (1925–1992)


P.S.
ポロック、ロスコは知ってるけど他は??という人もいると思うのですが、切手に加えられた10人は近代芸術の教科書にも載ってる有名どころです。
個人的にはクリフォード・スティル(Clyfford Still)の絵に惹かれます

2010-03-13

200通りのアイディアでグッゲンハイム美術館を考える

現在NYのグッゲンハイム美術館では、50周年を記念して企画展「虚空を考える」が行われていますが、今回はその企画展に応募された作品があなたのものになっちゃうかも!?というお話

今回の企画のために世界中のアーティスト、デザイナー、建築家、約200人がグッゲンハイムのロタンダ(円形の広間)を使った構想を出してきたのですが、そのうち9割がグッゲンハイムのチャリティーオークションに出品されます。
ちなみに日本からは伊東豊雄氏の作品がでていますよ。天井のガラスを使った作品なのでしょうか?

落札予想価格はまちまちといったところでしょうか。
諭吉さん2枚ぐらいからスタートのもありますけど...

オークションは3月18日まで↓のサイトで行われています
グッゲンハイム美術館オンライン・オークションのページ

主なアーティスト、デザイナー、建築家:
Alice Aycock, FAKE DESIGN (Ai Weiwei), Anish Kapoor, Sarah Morris, Mike Nelson, Paul Pfeiffer, Doris Salcedo, Lawrence Weiner, and Rachel Whiteread; designers such as Fernando and Humberto Campana, Martí Guixé, and Joris Laarman Studio; and architects such as Álvaro Siza Vieira Arquitecto, BIG (Bjarke Ingels Group), Greg Lynn FORM, junya.ishigami+associates, MVRDV, N55, Philippe Rahm, Snøhetta, Toyo Ito & Associates, Architects, and West 8


「虚空を考える」
場所:ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum
会期:2010年2月12日ー2010年4月28日


左: Alyson Shotz, Untitled, 2009 (detail). Laserjet print, 48.3 x 33 cm. Artwork © Alyson Shotz.
右: MAD Architects (Yansong Ma), State Fair Guggenheim, 2009 (detail). Digital print, 94.5 x 68.6 cm. Artwork © MAD Architects (Yansong Ma)

Guggenheim Museum: Contemplating the Void: Interventions in the Guggenheim Museum

ニューヨークまで行かれない・・・オンラインで展覧会を楽しむ!

2010-03-11

芸術家はどこまでも...南極までも。

芸術はどこで作られるのか?

1841年にアメリカ人のジョン・G・ランド(John G. Rand)が折り畳める金属製チューブを発明。画家達は屋外で油彩ができるようになり、後に印象派によってその利便性は最大限発揮されたのです・・・

そして今年、画家で彫刻家のナセル・アーザムは凍らない油彩道具を持っていざ、南極へ。


                      Copyright: Azam

8日、極寒の南極プロジェクトを終え、彼はイギリスに帰ってきた模様です。

気温約−30℃。
風が吹けば体感温度は−45℃。
風速100キロ/時になることもあるようで

こんな過酷な環境で、13点の絵を完成(全て屋外で描いた)。

この特殊な環境をキャンバスに反映させるため、彼は描いた作品を一夜屋外においたままに。そしたら4つも強風で飛ばされて、なんとか1つは見つかったとのこと(しかも、2日もかけてやっと1つ・・・)



Photograph of Nasser Azam painting in Antarctica on an ice desert. Azam Foundation photograph. Nejc Trost, C-Astral/Projekt Atol
(この抽象画は、南極という過酷で孤独な環境の中で、彼が物理的、心理的にとらえたものを描いたらしいです。)


アーティストのページ:Azam
News Source:
Artdaily.org - UK Artist Nasser Azam Completes Major Antarctic Performance Painting Series

2010-03-10

速報!アイ・ウェイウェイが・・・!?

かなり先の話になりますが、

次回、ユニリーバ・シリーズのアーティストがアイ・ウェイウェイ氏に決定した模様です!すでにテート・モダンのTwitter上にも公表されています。

予定は今年10月12日から翌年4月25日まで


アイ・ウェイウェイ(艾 未未)と言えば、去年11月まで森美術館で個展をやっていたあの方です
森美術館|アイ・ウェイウェイ展-何に因って?









Copyright: maico (Art @ World)

私、「8時間日曜対談―アイ・ウェイウェイ×アート×建築」まで行ったんです...。アイ・ウェイウェイの作品はデュシャンからの影響も強く、大学でデュシャンについて学んだ私にとって、とても興味深い展覧会でした。最初は8時間長そう〜と思ってましたが、建築家の坂茂、隈研吾氏、あとは杉本博司他いろんな方のお話も聴けて楽しかったです。


さてアイ・ウェイウェイ氏はあのタービン・ホールでどんなことをしてくれるのか?楽しみですね〜

The Unilever Series: Ai Weiwei
12 October 2010 – 25 April 2011

Tate Modern's Turbine Hall, site of The Unilever Series
© Tate

マリーナ・アブラモヴィッチとの出会い

一つ前のエントリーで紹介したマリーナ・アブラモヴィッチですが、私が初めて彼女の作品と出会ったのは6年前、シカゴの現代写真美術館(Museum of Contemporary Photography [MoCP])に行った時なんです。

彼女は主にパフォーマンス・アートで有名な人ですから、こんな場所で会うとは!(といってもビデオで録画されたものですが)しかもMoCPはシカゴにあるコロンビア・カレッジが建てたものなのですが、かなり小さい・・・ギャラリーとでも言った方がいいサイズです(確かsuggested priceみたいなかたちになっていて、特に入場料とかはないです)。


そして、MoCPでみた作品の一つがこれです(パフォーマンスのほんの一部):


タイトルは"Art must be beautiful, Artists must be beautiful"(1975年作)
そのタイトルと一緒に下の文章があったのですが、これを読んだ時の衝撃といったら・・・(思わず全部書き写してしまいました)。

I brush my hair with a metal brush in my right hand and simultaneously comb my hair with a metal comb in my left hand. While doing so, I continuously repeat "Art must be beautiful, Artists must be beautiful" until I hurt my face and damage my hair.

この中で注目したいのがartとbeautyの関係です。

芸術を学んでいく中でこの美という概念は必ず出てきますし、私たちも日常的に「美」を使った形容をしますよね。では芸術は美しいものであるか?もしくは、美しいもののみが芸術であるか?そもそも美って?

日本では「髪は女の命」なんていいますが、美を磨くために行っている行為が反対に美を損ねているとしたら?
「顔や髪を痛めるまで梳かした」先にあるものは?



シカゴには、シカゴ美術館(The Art Institute of Chicago)シカゴ現代美術館(Museum of Contemporary Art, Chicago)という2つの大きな美術館があるので現代写真美術館が目的で行く人はそんなに多くないかもしれませんが、時間があったら是非。(シカゴ美術館は去年レンゾ・ピアノ氏によってモダン・ウィングが増築されて話題になりました)


んー、NYに行って生のパフォーマンスみたい・・・

ちなみに彼女はいろんな意味ですごいパフォーマンスをやるのですが、この"Rhythm 10"もMoMAでやるのか気になります

2010-03-09

マリーナ・アブラモヴィッチ@ニューヨーク現代美術館

パフォーマンス・アートのパイオニアであり、これから歴史的評価がどんどん上がっていくであろうマリーナ・アブラモヴィッチ。
ついに彼女の回顧展が(しかも)ニューヨーク現代美術館で始まります!!
(こんな有名人の彼女なのに日本語のウィキペディアには載ってないんですね。彼女の経歴を知りたい方は横浜トリエンナーレ2008のページへどうぞ)


「アーティストはそこに存在する」
場所:ニューヨーク現代美術館(MoMA
会期:2010年3月14日ー2010年5月31日

Marina Abramović. Portrait with Flowers. 2009. Black-and-white gelatin silver print; photo: Marco Anelli. © 2010 Marina Abramović. Courtesy the artist and Sean Kelly Gallery/Artists Rights Society (ARS), New York


展覧会のページより:
このパフォーマンスによる回顧展では、初期のインターベンションや音による作品、ビデオ、インスタレーション、写真、独演、そしてウライ(Uwe Laysiepen)と共演したパフォーマンス作品と、40年以上の間に約50という作品数に及ぶ、多作のマリーナ・アブラモヴィッチ(1946年ユーゴスラビア生まれ)のキャリアを辿っていきます。このアーティストの存在を後世に伝え、彼女の歴史的パフォーマンスをより多くの人が鑑賞可能にするため、この展覧会ではアブラモヴィッチ作品を他人が演じるという、美術館という設定の中では初めてとなるライブ・パフォーマンスの再演を含んでいます。更に、アブラモヴィッチによって演じられる新しいオリジナル作品は、彼女がこれまで行ったソロの作品の中で最長を記録する予定です。観覧者が作品に参加する1つのものを含め、全てのパフォーマンスは鑑賞者が作品のもつ時間の超越性を体験できるよう、毎日美術館が開館する前から始まり、閉館後も続けられ、展覧会期間中は継続して行われます。

パフォーマンスに加えて、年代順に並べられたアブラモヴィッチのインスタレーションもMoMA6階ギャラリーで観ることができます。

14日より前にNYから帰ってきてしまうけど、どうしても観たい人にはMoMAメンバーになって会員限定プレビューに行くのがオススメです。(International会員だと$60、学生だと$50。しかもいろんな会員割引付き)

MoMAメンバー・プレビューの予定:
3月10日(水)10:30 a.m.
3月11日(木)10:30 a.m.
3月12日(金)10:30 a.m.
3月13日(土)10:30 a.m.

アーティスト本人と今回彼女の作品を演じた方々を交えたパネル・ディスカッション/シンポジア、Marina Abramović: The Artist Is Present: The Legacy of Performance、も6月2日6:30 p.m.から行われます

MoMA|Marina Abramović: The Artist Is Present

2010-03-01

《不平の合唱団》をYouTubeで楽しむ

今回は海外のネタから離れてわたくしゴト・ブログです

昨日は森美術館で行われていた「医学と美術」展とMAM PROJECT 010-テレルヴォ・カルレイネン+オリヴァー・コフタ=カルレイネン(Tellervo Kalleinen+Oliver Kochta-Kalleinen)の最終日でした。

「医学と美術」の方は以前空いてる時にじっくり見たので、今回はMAM PROJECTの《不平の合唱団》を楽しんできました。

最初は「不平」の合唱だから、他人の不満ばっかり聴いて楽しいかなぁと思ってたのですが、これが見たらけっこう可笑しくて、東京、Birmingham、Chicago等、何都市ものビデオを見てしまいました

合唱では各都市に特有の不平から、多くの人に共通するテーマまで(大量消費社会、雇用、政府、恋愛etc)を可笑しくも真剣に歌ってます。気に入ったフレーズをちょっと上げておきます

Helsinki:
ヘルシンキの真ん中にまた一つショッピング地獄が建てられた(Shopping 'Mall'をShopping 'Hell'に掛けている)
St. Petersburg:
酔っぱらってたって私は(カジミール)マレーヴィチの正方形の絵が描けるね
Chicago:
何でも近くに寄りすぎると性的魅力がなくなっちゃうのよね
みんな自分はキスがうまいって思ってるのよ
ここにオリンピックなんていらない

YouTubeで"Complaints Choir"と検索すると色々な都市のがでてくるので、「展覧会行きのがした」「中が混んでたから見る気になれなかった」人は是非見てください!(残念ながら展覧会ではあった日本語字幕はないので注意)

TOKYO バージョン↓


森美術館|MAM PROJECT 010 テレルヴォ・カルレイネン+オリヴァー・コフタ=カルレイネン

バンクシー作の映画がサンダンス映画祭で公開!

未だにその存在には謎が多いイギリス人グラフィティ、ストリート・アーティストのバンクシー(Banksy)。

ストリート・アートといっても、その対象となった場所は民家の塀等には留まらず、イスラエルとパレスチナの分離壁とかまでに及ぶ、世界一怖いもの知らずのゲリラ・アーティスト。その分離壁については「グラフィティをする者にとっては究極の休暇中旅行先("the ultimate activity holiday destination for graffiti writers")」なんて言ってのけてます...
さらに、大英博物館、テート・ブリテン、ニューヨーク現代美術館等の有名美術館に自分の作品をこっそり飾っちゃう始末(大英博物館の作品達はちゃんとコレクションの一部になったそうです)。

そんな彼の映画"Exit Through the Gift Shop"がサンダンス映画祭でお披露目され、英国では3月5日から公開される予定です



映画タイトルの"Exit Through the Gift Shop"は美術館に行ったらギフトショップに寄ってから帰る現状を皮肉ったものですかね。

ちなみに日本での公開予定は特に決まっていない模様。残念・・・


Exit Through the Gift Shop オフィシャル・ウェブサイト

サンダンス映画祭のページ|Banksy's Missive

その他バンクシー関係:
イギリスのBBCニュースから|「バンクシーがベツレヘムへ帰ってくる」:
In pictures: Banksy returns to Bethlehem

ストリート・アーティストなバンクシーですがブリストル市立博物館・美術館で展覧会をやったこともあります
Banksy versus Bristol Museum, review

2010-02-24

グッゲンハイム・フォーラム

今の美術館は、単に作品を鑑賞するだけの場所でなく、様々なパブリック・プログラムに参加しながら、より深く作品やアート全般について知る事ができる場所ですが、それは美術「館内」に限ったことではありません!

ニューヨークのグッゲンハイム美術館が年に数回行っている、アート、建築、デザインについてオンラインでディスカッションを行うグッゲンハイム・フォーラムが2月22日から26日まで行われています。勿論一般の方も参加OK!さらに、25日には1時間に渡るライブ・チャットが行われる予定です(現地時間25日木曜、午後2時から;日本時間26日午前4時から)。

今回は、現在行われているティノ・ セーガル(Tino Sehgal)展にフォーカスしながら、「物質的価値の向こうに(Beyond Material Worth)」と題し、経済の過剰生産と自己破壊的慣習から持続可能な社会への移行が叫ばれる中でアートと経済はどのようにしてこの歴史的転換期と価値の変移を乗り越えていけるか?というような内容です。すでにフォーラムのサイト上にはセッション1の記録が載っています

多くのアーティストが物を材料として製作をしているわけですが、アートは環境やその他の社会問題にどうやって取り組んでいけるのか?これから大きなテーマになりそうです

参加者:
Martha Buskirk, professor of art history and criticism at Montserrat College of Art
Juliet B. Schor, professor of sociology at Boston College
Simran Sethi, journalist and associate professor at the University of Kansas School of Journalism and Mass Communications
Peter G. Brown, professor in the School of Environment, the Department of Geography, and the Department of Natural Resource Sciences at McGill University

グッゲンハイム・フォーラムのページ:
Guggenheim Forum: Beyond Material Worth


ちなみに、グッゲンハイム美術館ではいつも興味深いプログラムが行われています。私がtheanyspacewhateverを観に行った時、”24-Hours on the Concept of Time”というプログラムが丁度行われていたのですが、時間という概念について様々な分野のエキスパートが24時間交替で話し続けるというものでした・・・

2010-02-21

グッゲンハイム美術館とwebデザイン

ニューヨークのグッゲンハイム美術館と言えば、フランク・ロイド・ライトによる内部が螺旋状になったデザインで有名な建物ですが、その16年間にわたる建造の歴史をウェブで辿ることができますー”Keeping the Faith with an Idea

このサイトでは、一筋縄ではいかなかった完成までの道のりを、年代ごとにまとめられた手紙、写真、インタビュー等を通して紹介しています。(構想段階の1944年のスケッチでは、建物が6角形になっていたり、外観が真っ赤だったりします!)

Copyright: maico@artatworld


今回このサイトが2010年のSouth by Southwest (SXSW, Inc.)のインタラクティブ部門のウェブデザインで最終選考まで残りました。ちなみに、SXSWとは毎年春にテキサス州オースティンで行われる、音楽、映画、インタラクティブ部門のある産業見本市で、「世界中から毎年約15,000人もの音楽関係者が集まり、仏カンヌのMIDEM(ミディム)、独ベルリンのPOPKOMM(ポプコム)と並ぶ世界3大国際音楽産業見本市の一つ」(SXSW ASIA Representativeより)です。
一応ビジネス目的の方が中心ですが、私もテキサスにいた頃1回行った事があります。(もう当日券しかないですが、Music部門だと1人$750で期間中のイベントに入りたい放題)


アート、音楽、ビジネス、他18の項目で最終選考に残ったウェブがみれるページは↓から
2010 SXSW Web Awards

2010-02-19

ミロスワフ・バウカのアプリが登場

今回iTuneのApp storeから、テート・モダンのタービン・ホールで現在開催中のミロスワフ・バウカ(Miroslaw Balka)による第10回ユニリーバ・シリーズ、“How It Is”とコラボした無料アプリがお目見えです(英語のみ)。

このアプリでバウカの作品を3Dで探検したり、インタビューを聴くことができます。しかも、実際にテート・モダンに行ってアプリを起動すると秘密のゲームも楽しめるようです!


テート・モダンのアプリ紹介ページはここをクリック





Copyright: Tate Modern

Tate Modern|The Unilever Series: Miroslaw Balka
”How It Is”
場所:テート・モダン(Tate Modern
会期:2009年10月13日ー2010年4月5日

2010-02-17

ピエール・スーラージュ@ポンピドゥー・センター


「スーラージュ」
場所:ジョルジュ・ポンピドゥー国立美術文化センター(Centre Pompidou
会期:2009年10月4日ー2010年3月8日





© Centre Pompidou


スーラージュ展の紹介ページより:

ポンピドゥー・センターでは、現在のフランス画壇で最も優れた画家、ピエール・スーラージュの作品を讃えるため、初となる大規模な回顧展を行っています。90歳になろうとする彼ですが、スーラージュ「黒と光の画家」は抽象美術において重要な人物のうちの一人として評価されています。

ポンピドゥー・センターでは、当センターが開館する前の国立近代美術館で1967年の展覧会後、初めてとなる大規模なピエール・スーラージュ展を1979年に行いました。この秋の展覧会では、60年以上に渡る絵画を振り返り、より最近の作品の発展に重点を置きながら彼の全作品に新しい解釈を示していきます。
本展では、1947年から1949年にかけて描かれた印象的な胡桃染料の作品から、ほとんどが初公開の力強さと彼の常に進化するアプローチが見られる近年の絵画等、1946年から現在に至る100以上もの重要作品を一堂に展示します。


Centre Pompidou:SOULAGES

全文英語若しくは仏語ですが、ポンピドゥー・センターのページでスーラージュ作品の詳しい解説がここから読めます。


Walnut stain, 1959
Walnut stain wash on paper
Collection Centre Pompidou, National Museum of Modern Art
Photo Collection Centre Pompidou, distributed RMN

2010-02-09

金子潤@フィラデルフィア美術館

アメリカのメジャーな美術館で日本人アーティストの個展が行われているので、今回はその情報をupしました。

(ちなみに私にとってフィラデルフィア美術館はデュシャンの作品が大量にあるので、まるで天国のようなところです。その他、近代アートの巨匠達の作品が数多く展示されています。あと、いつも人も少なめなので、一人でのーんびり見たい方にはけっこう穴場な美術館です)


「ジュン・カネコ」
場所:フィラデルフィア美術館(Philadelphia Museum of Art
会期:2009年9月5日ー2010年4月18日

PMFのページより:

1942年、名古屋に生まれた金子潤はシュイナード美術大学(the Chouinard Art Institute)でアメリカでの本格的な美術の勉強を始め、バークレーとクレアモント大学院で勉強を続けた。1990年代半ば以来、現在も進行中の巨大なセラミックのシリーズ、それは作家によって集合的に「ダンゴ」と呼ばれる作品に取り組んでいる。一つ一つの作品が複数の行程(絵付け、色付け、焼成、うわ薬がけ)をもつことによって、作家に絶え間ない、そして真剣な手と作品との関わり合いを要求する。これら4つの立体芸術作品はさらにミッション・クレイ・プロジェクトと(the Mission Clay Project)いう合計41の新作を生み出した一連の作品を代表している。そして、このプロジェクトには完成まで3年という月日を要した。


PMF: Jun Kaneko

Untitled, 2007
Jun Kaneko
American, b. 1942
Glazed stoneware
Courtesy of Jun Kaneko and Locks Gallery

2010-02-05

ルノワール@ロサンゼルス郡立美術館

現在国立新美術館で「ルノワール―伝統と革新」展が開催されていますが、ロサンゼルス郡立美術館でも今月半ばからルノワール展が始まります。

「20世紀のルノワール」
場所:ロサンゼルス郡立美術館(LACMA
会期:2010年2月14日ー2010年5月9日

LACMAのページより:

20世紀のルノワール
「20世紀のルノワール」展では、彼のキャリアの中でも印象主義との決裂に続く、装飾的で古典的、また非常に個人的なグレイト・トラディションの解釈に特徴づけられる最後の30年間に焦点を当てます。このように研究、展示されなかったことのなかったこの時期のルノワールの絵画は、それらがハイ・モダニズムの歴史の中に違和感なしに収まらなかったため、しばしば誤解されています。この展覧会は1985年にパリのグラン・パレ国立ギャラリーで包括的な回顧展が行われた以来初めてとなる、ルノワールのモノグラフ的研究であり、またロサンゼルス郡立美術館によって初めて催されるものでもあります。近代主義というレンズを通し、ルノワール作品にかつてない観点を持ち込むことにより、この展覧会は多くの人の頭にある19世紀と20世紀アートの間にある隔たりの橋渡しをします。


展示されている作品の中から14点が下記のページで見る事が出来ます
LACMA: Renoir in the 20th Century


Pierre Auguste Renoir (1841-1919)
Girls at the Piano
1892
Oil on canvas
H. 116; W. 90 cm
Paris, Musée d'Orsay
© RMN (Musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski

2010-01-31

クシュシトフ・ウディチコ@ボストン現代美術館

初投稿は私が実際行ってきた展覧会から。

「クシュシトフ・ウディチコ、...ここから外へ:退役軍人プロジェクト」
場所:ボストン現代美術館(ICA: Institute of the Contemporary Art Boston)
会期:2009年11月4日から2010年3月28日まで


"...OUT OF HERE: The Veterans Project," installation view, 2009.
Courtesy of the artist and Galerie Lelong, New York. Photo: John Kennard.


ICAの前書きより:

ウディチコによる実体験しているような新しいインスタレーションは戦争による無秩序と混乱を模索する

30年もの間、ポーランド人アーティスト、クシュシトフ・ウディチコは80以上の大きなパブリック・プロジェクションを世界中で製作しながら、タイムリーな政治、社会、そして精神的問題について取り組んできた。これらの作品の中で、彼は異常な状況に置かれた平凡な人々の物語、声、身振りを公共の記念碑や目立つ建物に投影することによって転換させる。
ICAのための新しい投影による作品では、イラクで実戦に参加した退役軍人とイラク人一般市民に焦点を当てている。「...ここから外へ:退役軍人プロジェクト」の中で、ウディチコによる物語がギャラリーの3つの壁に展開されるにつれて、日常生活の音は破壊と混乱による騒音によって遮断される。
この実体験のような記録は、現在のイラク戦争によってなんらかの影響をうけた医者、兵士、難民がアーティストとの接触によって、自身の体験を語り、映像と音声をアーティストと共有したことによる。彼らの物語と説明から製作されたため、投影されたシナリオは戦闘に置ける心理的、身体的な状況、また、経験が悲惨、もしくは不確定な状態で把握されるという分断された方法を反映している。


作品の写真を見たい方はここをクリック

ICA | Krzysztof Wodiczko, ...OUT OF HERE: The Veterans Project
art to art, English to Japanese, etc...